ロードバイクとサステナブル ~UNIQLO 「LifeWear magazine」を読んで、思いを馳せてみた~

COLUMN
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みなさん日々の生活ご苦労様です。

ギョーテンです。

この間、近所のユニクロに立寄ったときの話です。

服と一緒に雑誌が置いてあったので、何気なく手に取ってみたら、自転車フレームビルダーのインタビュー記事があったので、読んだ感想をちょっと意識高めに記事にします。笑

UNIQLO 「LifeWear magazine」とは

ユニクロの作る服、LifeWearって一体、何でしょうか? その答えを、服作りへの思いや美意識、商品の機能やデザインを一つずつ紐解くことで、みなさんにもっと伝えていきたい。そんな思いでLifeWear magazineは編集されています。

ユニクロ LifeWear magazine公式HPより

ユニクロは服作りのコンセプトとして「LifeWear(ライフウェア)」を掲げています。

その考え方を発信する媒体として、フリーマガジン「LifeWear magazine」を春夏と秋冬の年2回の発刊しています。

今回、自分が手に取ったのはその第3号です。

「LifeWear magazine」は、ユニクロの各店舗のほか、専用HPやKindleでも読むことが出来ますので、興味のある方は一度検索してみてはいかがでしょうか。

参考URL:UNIQLO LifeWear magazine公式HP(https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/lifewear-magazine/

ライフウェア(LifeWear)とは?

LifeWearは、あらゆる人の生活を、より豊かにするための服。美意識のある合理性を持ち、シンプルで上質、そして細部への工夫に満ちている。生活ニーズから考え抜かれ、進化し続ける普段着です。いまの暮らしのなかで、お客様が快適に過ごせるように。今日も変わらず、生活に必要な衣料をお届けできるように。

ユニクロ LifeWear 公式HP(https://www.uniqlo.com/lifewear/jp/)より

「LifeWear」とはユニクロ代表取締役会長兼社長の柳井正氏が考え出した新しい言葉で、「あらゆる人の生き方を豊かにし、そしてより快適に変えていく究極の日常着」なのだとか。

自分の「LifeWear」の勝手な解釈ですが、

どんな使い方にも適応する究極の一着をつくる

ということではなく、

ユニクロに来れば、その人が求めているものが全てそろう

ということを示した言葉だと感じました。※あくまで自分の勝手な解釈です。

「LifeWear magazine」3号を読んだ感想

雑誌のなかでは、アパレル業界をはじめとした様々な業界の方に、テーマに沿った話を伺っています。

3号では「サステナブル(持続可能な社会)」をテーマに、主に以下の方々が紹介されています。

  • 坂本龍一 ーArtistー
  • ジル・サンダー ーFashionDesignerー
  • ライアン・マッギンレー ーPhotographerー
  • ディアン・ジェームズ ーFrameBuilderー
  • ロビン・リム ーCertifiedProfessionalMidwifeー
  • イネス・ド・ラ・フレサンジュ ーModel/Designerー
  • マイク・エーブルソン ーProductDesignerー
  • ジェイソン・ポラン ーArtistー

その中で、自転車フレームビルダーであるディアン・ジェームズ(Dion James)氏の記事を中心に、読んで考えたことをここに書いていきます。

ディアン・ジェームズ(Dion James)氏/フレームビルダー

記事では、東京でフレームビルダーとして働くディアン・ジェームズ(Dion James)氏を紹介しています。

アメリカで生まれた氏が、何をきっかけに日本の地を踏み、日本でフレームビルダーを目指し、今、どこに向かって進んでいるのかが簡単に紹介されています。

内容については実際に読んでいただければと思いますが、ユニクロがなぜ、自転車フレームビルダーを取り上げたのか、少なからず疑問を感じました。

その答えが、記事の冒頭と、最後の文章に込められていると気づいたことが、この記事を書こうと思ったきっかけです。

記事の冒頭と最後には、こんな言葉が載っています。

サステナブルな人ほど自転車に乗っている。

便利になることだけが進歩ではなく、たとえ壊れても、直して、愛して、大事に乗る。

UNIQLO 「LifeWear magazine」3号より

愛着が湧けば、大事にものを使うし、ずっと使いたくなる。〔中略〕服だってそうだ。路地裏にあるお店は、立ち寄りやすく、近所の人たちに愛されるように。パンクも直してくれるし、空気だって入れてくれる。こういった当たり前の生活の中に、きっと未来ってある。

UNIQLO 「LifeWear magazine」3号より

自転車と服

自転車と服というのは、よく似ていると思います。

服は、体温の調整という以外に、自身の能力を拡張する機能や、周囲の人間との差別化を図るといった役割を持っています。

自転車も、移動手段という以外に、荷物の運搬や、機能美を具現化したような形状から、芸術品として扱う人も少なくない(特にロードバイク)ですし、ファッションの一部として扱う人も増えてきています。

日常生活の必需品として長い間愛されている道具は、その時代を反映した機能を要求され、様々な用途に用いられるようになります。

ファッションブランドであるルイ・ヴィトンの傘下にロードバイクメーカーのピナレロが参入したり(ルイヴィトンを傘下にもつ企業の傘下に入る)、互いの業界も、お互いが近いものであるという認識は少なからずあるのではないでしょうか。

参考ページ:ルイ・ヴィトンがピナレロ買収へ。贅沢は「モノ」から「ヒト」へシフトする。(Route92)

ロードバイクとサステナブル

自転車を使う生活は、本書のテーマである「サステナブル」と非常に親和性が高いことには自分も強く同意しますが、自分が趣味にしているロードバイクは少し違うのではないか、と感じています。

自動車のように化石燃料を消費せず、人力で走ることから地球環境に優しく、体を動かすことによる健康改善効果が期待されるという意味では、ロードバイクも十分「サステナブル」に貢献していると思います。

ただ、ロードバイク本来の用途は、プロのロードレーサーが使用するレース機材です。

日本で生活に使用されている自転車の代表格、いわゆるママチャリ(正式名称? はシティサイクル、アーバンバイクというらしいです。)と違い、ロードバイクは年単位での長期間使用を想定されていません。

事実、プロのとあるロードレースチームは、選手27人に対し1年間で約280台の自転車を消費しているという発表を過去にしています。
※下で参照した記事でも、環境負荷の改善に向けて消費を減らしていく方針だとまとめているので、今は改善されているかも知れません。

参考ページ:ワールドツアーチームが1年間で使うボトル、ジャージ、チェーンなどの数は?(Bike News Mag)

特に、日本のロードバイク市場は実際にプロが使用する機材、いわゆるハイエンドモデルが人気で、メーカーもおおよそ2~3年のサイクルで新モデルを発表し、そのたびに買い替える方も少なくないと聞きます。

自転車メディアも、主に取り上げる機材はそういったハイエンドモデルがほとんどです。
現在は自転車業界全体のマーケティング縮小やコロナ禍もあって、今後変化していく可能性は非常に高いです。自転車に限らず、「大量に作って売る」時代は終わりがすぐそこまで来ています。

服もそうだと思うのですが、「長く使う」、「使い終わったら別の人や物に還元していく」という考えが定着しない限り、サステナブルな生活というのはごく一部の人たちの間で自己満足で終わってしまいます。

そういった、持続可能な自転車の扱い方を紹介するために、「LifeWear magazine」でフレームビルダーが取り上げられたのではと推測します(ビルダーが扱う代表のクロモリ素材フレーム自転車は、一部が壊れてもその部分のチューブを交換することができますので)。

サステナブルから見るロードバイクの未来

ロードバイクで扱われる素材はここ十数年、カーボン素材が中心となっています。

軽くて丈夫で、フレーム形状の設計自由度が高く、カーボン素材の組み合わせや繊維方向によって、各部位のしなり量や剛性を細かく設定できることから、メーカーハイエンドモデルはカーボン素材のフレームがほとんどです(一部、チタン素材の高級フレームなんてものもありますが)。

レース機材である以上、速さを追求するためにより良い素材を追求するのは自然な流れです。

一方で、ロードバイクは一般ユーザーの便利な移動手段、健康的なアクティビティとしてのツールという側面を持っています。

UCI(国際自転車競技連合)のルールにより、”自転車およびその付属品は,スポーツとして自転車を実践するすべての人が使用できるために市販された形式でなければならない”と定められているため、「プロの使用している機材を自分も手に入れられることが出来る」というのは、ロードバイクを趣味にしている一部の層のステータスとして語られることも多いです。

ただ、上でも書いたように、プロが使用するロードバイクはレース機材です。

レース機材は結果がすべてなので、速さを追求していく過程で長期的な使用なんて観点は考慮されていないと自分は考えています(もちろん基準以上の強度は確保されているでしょうが)。

もし、一般ユーザが長期に使用することを考慮されているのであれば、それは逆に、本来使用を想定されているプロのロードレーサー達が制約を受けてしまっているという、本末転倒な問題が浮かび上がってきます。

現に、一般ユーザーにとっては便利ですが、プロのロードレースでは使用できない機能が付属したロードバイクもあります(BMCのTMRとか)。

一般ユーザーの事を考えた設計を考えてくれているのはとても嬉しいことです。

ただ、逆にそれが枷となって、プロ側が制約を受けたり、自転車の技術革新が制限されているようにも思ってしまいます。

今一度、自転車、特にロードバイクの未来というものを見つめなおしてみても良いのかもしれません。

いっそのこと、プロと一般ユーザが使用する機材を完全に分けてしまったほうが、お互いの利益が多いのかもしれません。

競技として、道具として、ロードバイクという自転車が持続していく社会であってほしいと、ロードバイクを趣味にしている一人の人間願っています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ちょっと本に影響されて「サステナブル×ロードバイク」なんていうテーマで考えをつらつらと書いてみましたが、皆さんの意見はどうでしょうか。

自転車による事故で重傷を負う事例が最近目についています。

そのすべてにロードバイクが関係しているわけではありませんが、もしこの先、プロと一般ユーザが使用する機材を完全に分けることができれば、「安全性能」に特化したロードバイク、というものが登場する日が来るかもしれません(まあ、現実的に完全に分けるなんて無理でしょうが)。

それが、持続可能な社会に適応したロードバイクの姿といえなくもないと思います。

この記事が、皆さんの参考になれば幸いです。

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