競輪の補助で自転車が開発ができる!? ブリヂストン アンカー新型「RP9」の発表で思うところ

COLUMN
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みなさん日々の生活ご苦労様です。

ギョーテンです 。

5/20にBRIDGESTONEから待望のディスクブレーキレーシングモデル「RP9」が発表されました。

参考ページ:RP9ディザーサイト(ANCHOR)

フレームの詳細情報は、公式HPや大手自転車メディアを参考にしていただければと思いますが、1点、公式HPの最後に気になる文章がありました。

本ロード用機材の開発は競輪の補助を受けて実施しました。

RP9ディザーサイトより

???

競輪の売上金が、自転車道の整備や献血車両などの社会貢献に活用されているのは何となく知っていましたが、1企業の商品開発にまで補助が適用されるものなのでしょうか?

それとも、開発費用に競輪の補助を受けるのは業界的に常識で、みんな申請しているのでしょうか?

と、いうことが気になったので調べてみました。

調べた結果を先に書くと、

  • 競輪の補助を商品開発そのもの使っているのはごく一部の企業だけ
  • それも、オリンピックでメダルが期待されるトラック競技用機材のみ
  • RP9は国内で初めて競輪の補助を受けて開発された「ロード用機材」
  • 競輪の補助は、日本の法人格を有する企業なら誰でも受けられる

※資料を基に推察した個人の見解です。間違いがありましたら、ご意見いただければ訂正します。

本記事参考ページ①:競輪とオートレースの補助事業

本記事参考ページ②:公益財団法人JKA

競輪の補助とは?

まず、そもそも「競輪の補助」ってなんなのか? から調べてみました。

「競輪の補助」について、自転車競技法(日本において、競輪に関する規定を定めた法律)の中に、下のように記載されています。

第二十四条 競輪振興法人は、次に掲げる業務を行うものとする。
一 競輪の審判員及び競輪に出場する選手の検定及び登録並びに競輪に使用する自転車の種類及び規格の登録を行うこと。
二 選手及び自転車の競走前の検査の方法、審判の方法その他競輪の実施方法を定めること。
三 選手の出場のあつせんを行うこと。
四 審判員、選手その他競輪の競技の実施に必要な者を養成し、又は訓練すること。
五 自転車その他の機械に関する事業の振興のための事業を補助すること。
六 体育事業その他の公益の増進を目的とする事業の振興のための事業を補助すること。
七 第十六条第一項の規定による交付金の受入れを行うこと。
八 前各号に掲げるもののほか、競輪の公正かつ円滑な実施に資する業務又は自転車その他の機械に関する事業若しくは体育事業その他の公益の増進を目的とする事業の振興に資する業務であつて、経済産業省令で定めるものを行うこと。

自転車競技法第二十四条より

つまり、競輪を運営する競輪振興法人(現在は公益財団法人JKA)は、その売上金の一部を自転車などの機械の開発や公益事業の振興のために活用しなさい。というのが法律として定められているわけです。

この辺りは、同じギャンブルであるオートレースや競馬、宝くじでも同様に、法律で売り上げを社会貢献に活用しなさいと書かれていますね。

ちなみに、競輪の令和2年度における車券売上額は

749,990,196,400円だそうです。

……ギャンブルって儲かるんだなあ……そりゃあカジノ作りたくなるよなあ(コロナ禍を経験した今なら、横浜のIRも賛成されるかもしれない)。

競輪の補助でできること

競輪の補助で、具体的にどんなことが出来るのか、簡単に調べてみました。

JKAのHPにて紹介されている補助事業内容には、おもに2種類ありました。

①機械振興補助事業

主に機材や人材育成に関する事業や研究の補助。
自転車のみならず、福祉や防災関係事業も補助対象です。

②公益事業振興補助事業

主にイベントや環境整備に関する事業や研究の補助。
自転車のみならず、医療や伝統芸能関係事業も補助対象です。

上の2つのほかに、緊急的な対応を必要とする事業(大規模な災害時の救援など)にも活用されています(新型コロナウイルス感染症対策にも活用されています)。

ここで紹介した事業以外にも様々な分野が補助対象となっていますので、気になる方は一度公式HPを覗いてみてはどうでしょうか。

BRIDGESTONEはどれだけ競輪の補助を受けているのか?

JKAの公式HPには、誰にどれだけの金額を補助したのか、実績が公開されています。

RP9の開発を含めて、BRIDGESTONEやほかの企業が商品開発に関してどれだけ競輪の補助を受けているのか調べてみました。

※競輪の補助対象が多岐にわたるため、今回は、自転車フレームやウェアなど機材開発に絞って、過去の補助実績を調べてみました。

補助年度企業①(補助金額)企業②(補助金額)企業③(補助金額)
2021年度ブリヂストンサイクル株式会社(99,696,000円)デサントジャパン株式会社(26,632,000円)株式会社オージーケーカブト(22,212,000円)
2020年度ブリヂストンサイクル株式会社(200,000,000円)デサントジャパン株式会社(29,918,000円)株式会社オージーケーカブト(22,482,000円)
2019年度ブリヂストンサイクル株式会社(200,000,000円)デサントジャパン株式会社(39,052,000円)
2018年度ブリヂストンサイクル株式会社(149,112,000円)デサントジャパン株式会社(33,330,000円)
2007~2017年度自転車関連機材開発の補助なし

JKAの公式HPでは2007年度までの実績しか掲載されていませんでした。

確認した結果、上の表のように、機材関連の補助は2018年度以降しかないようです。

しかも、ブリジストンとオージーケーとデサントジャパンの3社のみ。

補助内容をみると、全てトラック競技用機材開発に関する補助でした。

トラック競技は、自転車競技の中でもオリンピックでメダル獲得が有力視されていますし、機材面でのサポートを充実させるため、「競輪の補助」を活用したのではないかと推測できます。

ということは、今回のRP9は、ロードバイクとして初めて競輪の恩恵を受けたフレームと言えるのではないでしょうか。

競輪の補助は誰でも利用できるのか?

これまで、機材開発関連で補助を活用した企業は3社のみである、ということが分かりました(自転車フレームで言えばブリヂストン1社のみ)。

では、競輪の補助は誰でも利用可能なのでしょうか?

JKA公式HPに掲載されている「2021年度 補助方針」のなかで、補助対象者の条件をしたのとおり定めています。

財団法人・社団法人※1、技術研究組合、特定非営利活動法人(NPO 法人)、特別の
法律に基づいて設立された法人、その他公共的な法人
なお、自転車・モーターサイクルの支援に資する事業については日本国内に法人
格を有する企業
、また、福祉機器の整備に係る事業については社会福祉法人も対象
とする。

※1 財団法人・社団法人とは、一般財団法人、一般社団法人、公益財団法人、公益社団法人を指します。

2021年度 補助方針より

つまり、ブリヂストンやオージーケーカブトが機材開発に競輪の補助を受けることができたのは、何もオリンピックに向けた特別措置、というわけではなく、日本の企業であれば誰でも競輪の補助を受けて自転車関連機材の開発が可能ということです(審査に通る必要がありますが)。

機材開発に一体どれだけの金額が必要なのかはわかりませんが、最大で2億円の補助を受けることができるというのは魅力的だと思います。

自転車メーカーの方は、ぜひ活用を検討してみてはいかがでしょうか。

※2021年度の競輪補助事業の受付は既に終了しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

調べれば調べるほど、日本の自転車業界は「競輪の補助」なくして立ちいかないというのが今回良く分かりました。

新型ロードフレーム「RP9」は、その象徴であるといっても過言ではないと思います。

RP9がこれから日本のロードレース界で勝利を量産できるのか、要チェックです。

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