みなさん日々の生活ご苦労様です。
ギョーテンです。
先日、ツール・ド・フランスの開幕に合わせて、TREKが新型Madoneを発表しましたね。
IsoFlowと名付けられた、シートチューブに空いた大きな穴のデザインがとても印象的で、他のメーカーとは一線を画したデザインが衝撃を与えました。
Domaneに初めて採用されたIsoSpeedもそうですが、TREKは他のメーカーに真似できないデザインと技術を開発するのがてもうまいという印象です。
とはいえ、従来のデザインを打ち破る道が示されたので、他のメーカーもTREKに倣い、しばらくは奇抜なデザイン合戦が続くと思います。
そこで、ロードバイクのデザインで次に来るトレンドは何なのか、自分も勝手に予想してみましたので、記事にして紹介したいと思います。
個人的に予想しているのは、エレベーテッドチェーンステーとシャフトドライブの2つです。
今回は、エレベーテッドチェーンステーについて紹介したいと思います。
※過去に、トレンドを予想した記事をいくつか作成していますので、興味ある方はそちらもどうぞ。
次に来るフレームデザインは、エレベーテッドチェーンステー!?
エレベーテッドチェーンステーとは?
エレベーテッドチェーンステーは、1990年代のマウンテンバイクで流行ったフレームの構造です。
チェーンステーがチェーン上をとおり、チェーンを跨がないようなフレームワークをしています。
少数ではありますが、MTBでは現在も採用されている構造です。
両側のチェーンステーをエレベートしたものと、チェーン側のみエレベートしたものの2種類があります。
エレベーテッドチェーンステーの特長
過去にエレベーテッドチェーンステーが採用された理由は、主に3つが挙げられます。
- チェーンが暴れてチェーンステーに衝突フレームが損傷してしまうことや、メカトラを回避できる。
- ホイールとクランクの間を通す必要がないので、タイヤクリアランスを広げることができる。
- タイヤクリアランスを広げてもチェーンステー長を短く設計でき、敏捷性を保つことができる。
メカトラの防止につながるし、タイヤも太くできて乗り心地もよくなるし、いいことづくめな構造だと思うのですが、以下のデメリットがありました。
- トラス構造が崩れて、リア三角の剛性が不十分だった。
- 通常よりも材料が増えるので、車体重量の増につながる。
レース機材として無視できないマイナスポイントです。
当時の人たちにもう受け入れがたかったのか、現在に至るまで主流の技術とはなりませんでした。
なぜ、次に来ると思ったのか
流行っていた当時もロードバイクには採用されず、MTB業界でも今となっては一部のメーカーに採用されるのみの技術ですが、それがなぜ次にくると感じたのか。
それは、チェーンステーがBBに接続していることで、後輪と前輪の挙動にズレが生じているのではと感じたからです。
ペダルを踏み込んだ時のBB周辺の動き
ペダルを踏み込んだ時、BB周辺は踏み込んだ足の逆方向へ移動する力が働きます。
以下の動画が視覚的にわかりやすいと思います。
ペダルを踏み込んだ時のチェーンステーやホイールの動き
以前、愛車の解説記事を作成した時に各パイプの挙動について紹介しました。
その時、チェーンステーの挙動は以下のとおり説明しています。
フレーム部位 | ペダルを踏み込んだ時の動き、パイプにかかる力 |
チェーンステー | 左ペダルを踏みこんだ時、エンド側には駆動力がハブ軸を通じて前方向の力と路面からの上方向の力(重力の反力)がかかり、BB側は右方向へ曲がる力がかかる。(右ペダルを踏み込んだ時はそれぞれ逆の力)。 |
トップチューブ | 左ペダルを踏みこんだ時、同時に左手でハンドルを引き付けるためヘッドチューブ側は右に傾き、シートチューブ側は左に傾く。結果、S字状に曲がる力がかかる(右ペダルを踏み込んだ時はそれぞれ逆の力)。 |
つまり、左ペダルを踏み込んだ時、チェーンステーを通じてBBとつながっている後輪は右方向へ移動し、前輪は左方向へ移動します(ヘッドチューブ側のトップチューブが右に傾くので)。
もちろん、右ペダルを踏み込んだ時は逆の力が働きます。
※その時の記事に興味のある方は是非こちらも読んでみてください。
そう、ロードバイクはペダルを踏み込んだ時、前輪と後輪が左右逆方向に動くのです。
ホイールの左右の移動距離なんて微々たるものですが、その僅かな誤差が走行時の抵抗になっている可能性があります。
その対策として、ペダリング時に一番変形する力点(ペダル)に最も近いBB周辺部から距離をとれば、ペダリングによるホイールの左右方向への変形量を減らすことができるのではと考えました。
そう、つまりは、エレベーテッドチェーンステーという訳です。
もちろん、自転車の変形は、フレーム各部にかかる力と形状が複雑に影響し合っているので、一概にこれですべて解決するという訳ではありません。まず第一に、技術者ではないド素人の発想ですので、上記のような効果を保証できるわけではありませんが、機会があれば、自分でエレベーテッドチェーンステーのロードバイクを作成して試してみたいものです。
エレベーテッドチェーンステーを採用しているロードバイク(実際はグラベルバイク)
ここで、エレベーテッドチェーンステーを採用しているロードバイクメーカーを紹介できればよかったのですが、2022年9月現在、調べた限りでエレベーテッドチェーンステーを採用しているピュアオンロードレーサーは見つかりませんでした。
ただ、最近流行カテゴリであるグラベルバイクでエレベーテッドチェーンステーを採用しているメーカーがありましたので、今回はそちらを紹介します。
CF01(narifuri)
日本の自転車系ファッションブランドのnarifuriが製造しているフレーム。
このモデルのコンセプトは「大人のプラモデル」とのことで、これ1台で様々なカスタムを楽しむことができます。
エレベーテッドチェーンステーとスライドエンドの組み合わせによって、変速ギアからシングルスピード、リムブレーキからディスクブレーキ、チェーンドライブからベルトドライブと、まさに所有者の好みに合わせてカスタムすることができます。
バイクパッキング用のダボ穴も豊富に備わっているので、街乗り仕様で生活の足として使ったり、限界まで荷物を載せてキャンプに行ったりと様々な用途に使えるフレームです。
参考ページ①:CYCLE MODE 2018とCF01(narifuri公式ブログ)
参考ページ②:CF01紹介ページ(narifuri online store)
ABLE(Allied Cycle Works)
Allied Cycle Worksは、2016年に創立されたアメリカの新しい自転車メーカーのグラベルモデル。
こちらもCF01同様に、ドライブトレイン側のみエレベートしている構造をしています。
公式HPの情報によれば、『こんなに太いタイヤを穿かせているのに、信じられないほど反応が良い』とのことなので、タイヤが太くなる流れが来ているロードバイクにも是非採用してみてほしいです。
参考ページ:ABLE紹介ページ(Allied Cycle Works)
まとめ
いかがでしたでしょうか。
特に業界の中の人に話を聞いたとか、そんなことは何もない只の素人の妄想ですが、こういう妄想を考えるのが好きなので、これからも思いついたら自分なりの考えをまとめてブログで紹介したいと思います。
コメント